研究課題/領域番号 |
01570706
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中條 俊夫 東京大学, 医学部(病), 教授 (70050367)
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研究分担者 |
岩中 督 東京大学, 医学部(病), 助手 (90193755)
橋都 浩平 東京大学, 医学部(病), 助教授 (50180815)
河原崎 秀雄 東京大学, 医学部(病), 講師 (60115475)
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キーワード | 肝移植 / 生体部分肝移植 / 静脈バイパス |
研究概要 |
実験動物を雑種犬から猿に変更して生体部分肝移植の実験を行った。体重平均約8kgの猿をdonorに、約5kgの猿をrecipientとし、輸血のための採血用の猿と合わせて計3頭を1組として台湾猿7組、日本猿9組の計16組、48頭の猿を用いた。donorの肝左葉を切断し、recipientに同所性に移植した。実験開始当初から12組目までは、recipientは全例術後24時間以内に死亡した。死因は殆どが肝切断面よりの出血と移植肝のacut liver non functionであった。しかし、その後の4例は生存時間が各々58、64、68、242時間と延長した。この4例の死因は、各々、liver nonfunction、左肺の無気肺による呼吸障害、事故、移植肝の拒絶反応であった。donorは術後採血用に犠牲死させた3例を除くと1週以内の死亡3例、1-2週の死亡3例、2週以上の生存7例と最近の実験では、他に合併症の無い猿は全例2週以上生存してる。recipientの生存時間が延長したのは、手術術式、術後管理、においていくつかの工夫を行ったことに起因する。術後の工夫は以下4項目である。(1)肝の血液をすべて保ったままdonorの肝左葉を右葉から分離切断し、門脈から4°cの冷ハルトマン液で左葉を灌流し始めると同時に肝動脈と肝静脈を切断することによりdonorに影響を与えること無しに、移植肝を冷却灌流する。(2)recipientの肝全摘において我々が考案した下大静脈灌流型非強制的静脈バイパスを使用し、安全に肝全摘を行った。(3)肝移植に際し、移植肝の左肝動脈をマイクロサ-ジェリの手術技術を用いて吻合した。(4)移植肝をrecipientの下大動脈の右側に予め180度回転させて置き肝動脈と下大静脈を端側に吻合する事により肝静脈のout flow blockを防止した。術後管理の工夫は以下の3項目である。(1)術後48時間はrecipientの気管チュ-ブを挿管したまま筋弛緩剤を用いて呼吸管理した。(2)recipientをクベ-ス内で管理し、低体温に備えた。(3)特注の猿の抑制椅子を用いて管理した。今後は免疫抑制法を工夫してより長期の生存を目指す方針である。
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