研究概要 |
我々がラットの系で確立したドナ-抗原特異的な細胞傷害性T細胞の前駆細胞頻度〔f(Tcp):Тc precursor frequency〕を測定する限界稀釈法(LDA:Limitice Dilntion Assay)を用いて、移植前後のレジピエントの脾細胞ならびに急性拒絶反応時にグラフトへ浸潤する細胞(GICs:Graft rnfiltratuy cells)のf(Tcp)を測定し、急性拒絶反応の制御機構を解明することを目的とした。 移植後5日目の脾T細胞のf(Tcp)は1/(195±123)と、対照脾T細胞の1/(2343±591)に比して約12倍のクロ-ンサイズの拡大をみた。しかしながら、グラフトが拒絶された感作脾T細胞のf(Tcp)は1/(696±243)と縮小傾向を示した。こうしたグラフト拒絶後のTcpのクロ-ンサイズの縮小傾向は、免疫抑制をしていないレシピエントにおいても、Tcによる無制限の免疫応答が起こらないような制御の機構が存在することを示唆している。 昨年報告した移植後5日目のグラフトよりクロ-ニングされたCD4^+,CD8^-,CD45R^+のT細胞クロ-ンが、急性拒絶反応の進行とともに増殖するTcを抑制する方向に作用するT細胞と考えられ、急性拒絶反応の制御の一つの機構が示唆された。
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