研究課題/領域番号 |
01570711
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高木 洋治 大阪大学, 医学部, 助教授 (40154760)
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研究分担者 |
井村 賢治 大阪大学, 医学部, 助手 (30176507)
鎌田 振吉 大阪大学, 医学部, 助手 (40161202)
岡田 正 大阪大学, 医学部, 教授 (40028569)
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キーワード | 微量元素 / 侵襲 / 静脈栄養 |
研究概要 |
消化器外科患者を対象とし、術前、術後1、2、3、5、7、10、14日目に各種微量元素(亜鉛、銅、セレン)、栄養学的指標(血漿たんぱく、アミノグラム)、尿中窒素排泄量(UUN)を測定した。術後は2日目より微量元素(亜鉛60μmol、銅5μmol、マンガン20μmol、鉄3.5μmol、ヨ-ド1μmol)を含有する静脈栄養(40kcal/kg/day)を行い7日間以内は絶食とした。その結果、まず胃全摘症例で術後合併症のない症例において血漿亜鉛値の変動をみると術後1日目に最低値となり、以後漸次上昇して5日目以降術前値に復した。血漿RTP(Rapld Turnover Protein:トランスフェリン、プレアルブミン、レチノ-ル結合タンパク)、血漿分岐鎖アミノ酸濃度(BCAA)も同様の変化を示し、術後、7日以内の血漿亜鉛値とレチノ-ル結合タンパク、BCAA濃度およびfischer比との間には有意の正の相関がみられた。血漿銅、セレン濃度の変動については、血漿銅値は術後一過性に上昇し、以後漸次下降して術前値に復するパタ-ンをとり、血漿亜鉛値とは対照的であった。血漿セレン値は有意の変動を示さなかった。また全症例についてみると、術後合併症(縫合不全、感染症)併発群では、非合併症群に比し血漿亜鉛値は術後5日目以降有意の低値を示し、UUN増加、白血球数増加に先行してみられた。以上より血漿亜鉛値は手術侵襲、感染症といった生体のストレスの鋭敏な指標となることが示された。平成2年度も元年度同様、外科手術症例を対象とし、血中微量元素の変動を観察していく予定であるが、症例数にも限りがあるため、微量元素投与群、非投与群の比較は症例に余裕があり、侵襲の比較的そろった症例が得られた場合に行いたいと考えている。また、ネフェロメ-タ-にて測定する各種血漿タンパク(RTP、急性相タンパクなど)は、抗体の費用が高く、急性相タンパクの測定種類を減じて行う予定である。
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