研究概要 |
昨年度に引き続き消化器外科患者を対象とし、術前、術後1,2,3,5,7,10,14日目に各種微量元素(亜鉛,銅,セレン),栄養学的指標(血漿タンパン,アミノグラム),尿中窒素排泄量(UUN)を測定した。術後は2日目より微量元素(亜鉛60μmol,銅5μmol,マンガン20μmol,鉄35μmol,ヨ-ド1μmol)を含有する静脈栄養(40kcal/kgday)を行い7日間以内は絶食とした.その結果、まず胃全摘症例で術後含併症のない症例において血漿亜鉛値の変動をみると術後1日目に最低値となり、以後漸次上昇して5日目以降術前値に復した。血漿RTP(Rapid Turnover Protein:トランスフエリン,プレアルブミン,レチノ-ル結合タンパク),血漿分岐鎖アミノ酸濃度(BCAA)も同様の変化を示し術後7日以内の血漿亜鉛値とレチノ-ル結合タンパク,BCAA濃度およびFischer比との間には有意の止の相関がみられた.次に侵襲用アミノ酸製剤(Pー1:分岐鎖アミノ酸配含比率36%)を用いた群で血漿亜鉛値,血漿RTP,血漿アミノグラムの変動を観察し、標準アミノ酸製剤(MF)使用群と比較検討した.血漿亜鉛値,血漿RTPの変動には両群間には差はみられなかったが、BCAA,FR(Fischer比)は術後全ての測定時において両群間に有意差がみられた。又Pー1群における術後7日以内の血漿亜鉛値は何れの指標とも有意の相関を示さず、今後その意義について検討予定である。 血漿銅,セレン濃度の変動については、末だ一部の症例のみ測定し終えたところであるが、血漿銅値は術後一過性に上昇し、以後漸次下降して術前値に復するパタ-ンをとり、血漿亜鉛値とは対照的であった。血漿セレン値は有意の変動を示さず、今後測定を一旦打ち切ることにした.
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