研究課題/領域番号 |
01570721
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
遠藤 昌夫 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00112681)
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研究分担者 |
田村 哲郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90197583)
三本松 徹 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40178843)
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キーワード | 胆道閉鎖症 / 亜鉛代謝 / 銅代謝 / 亜鉛負荷試験 / 肝硬変 |
研究概要 |
本研究は、胆道閉鎖症の黄疸消失例の予後を向上させる因子としての手術後の胆汁排泄促進、肝硬変の進行抑制を目的として、肝障害例におけるCuおよびZnの大謝および肝障害進行の一因となっている遊離活性化酸素および過酸化脂質との関連を解明し、Zn投与の治療的側面を探ろうとしたものである。先ず臨床的研究としてわれわれの施設で経験した胆道閉鎖症例の術後観察において、血中のCuおよびZn濃度と他の肝機能指標および臨床的肝硬変症状の推移との関連、外来における経口的Zn投与の血中濃度に及ぼす影響について調査した。結果)血清銅値は肝機能検査値の悪化に伴って上昇し、Zn値は低下する傾向を示し、両者の変動は逆相関の関係にあった。Cu/Zn比は臨床的な肝硬変の程度と良く相関した。硫酸Zn10mgの経口投与の前後でその血清濃度を比較すると個々の症例における前後値のpaired t-testでは有意差をもってその上昇が示されたが、その上昇の程度は小さかった。更に、これらの症例のうちの11例にZnの経口負荷および経静脈的負荷を行なってその血中濃度の推移および尿中排泄を観察した。結果)症例を肝硬変症状の程度により2群に分けて観察すると、肝硬変の進んだ群においてより低い血清濃度が示された。経静脈的Znの負荷後には両群共に速やかな血清濃度の上昇が認められ、その濃度曲線は両群において平行しており、曲線下面積(Area Under the Curve)には差が認められなかった。一方、経口的負荷においては肝硬変の進んだ群で血清濃度の上昇が抑制されており、これらの結果からは肝硬変の進んだ群においては消化管からのZnの吸収が低下していることが予想された。動物実験においては50g離乳期ラットに四塩化炭素肝硬変モデルを作成し、をZn欠乏食にて飼育し、これに経口的および中心静脈を利用して静脈的にZnを与えた群と与えない群において肝硬変の進行の程度を観察中であり、その結果が待たれる。
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