研究分担者 |
金綱 友キ子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (40231261)
新開 真人 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (10216210)
藤田 省吾 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (70209055)
唐仁原 たもつ 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (80197847)
渕之上 昌平 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (10147382)
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研究概要 |
血液透析によって脳内の水電解質代謝、浸透圧、pH等の変動が起こることは以前より報告されているがその機序は明らかでない。今回我々は ^<31>PーMRSを用いて非侵襲的に透析前後の脳内のpHの変動について観察し検討を加えた。体重約2kgの家兎10羽を用い、まず右腎摘出および左腎4/5切除を行って外科的に慢性腎不全モデルを作成した。血液透析回路はダイアライザ-として膜面積0.1m^2のCuprophan hollow fiberを用い重炭酸透析液を流量50ml/mimで流した。脱血血流速度は血圧に注意しながら200ー414ml/hrに設定し、透析時間は1.5時間とした。 ^<31>PーMRS測定にはJOEL FXー200NMR spectrometer(JOEL,Tokyo)を用い、surface coilを家兎の前頭部皮膚にあててsamplingした.まず、 ^1Hを用いシムコイルの調整を行ったのち、acquisition time0.5sec,積算回数600回にて ^<31>P spectrumを測定した。 透析前後で血清クレアチニンおよび血清尿素窒素濃度、動脈血pHを測定するとともに、家兎の脳 ^<31>P NMR Spectraを観察し脳細胞内はpHは無機リン酸とホスホクレアチニンとの化学シフト値によりHendersonーHasselbalch式から求めた。慢性腎不全モデル作成2週間後に血清クレアチニンは1.7+ー0.5mg/dl、血清尿素窒素は54.4+ー25.0mg/dlと無処置群に比較して有意に上昇し動脈重炭酸濃度も20.3+ー5.4mEq/lと低下した。血液透析90分後に上昇していた血清クレアチニンおよび血清尿素窒素は低下し、動脈血pHや重炭酸濃度の改善が認められ透析の効果をうらづけられた。MRSの観察ではβーATP,phosphomonoester(PME),phosphodiester(PED),in organic phosphateのいずれもそのレベルに変動は見られず、脳内pHiは透析前が7.08+ー0.09から7.05+ー0.11と試度の低下傾向を認めたが有意差はなかった。 今回は明かな脳内pHの変動は証明されなかったが、呼吸循環管理の不安定さや透析条件の影響があっものと考えられた。さまざまな血液浄化法が取り入れられつつあるが、その脳代謝への影響を考察する上で31PーMRSは有用な手段だと思われる。
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