研究概要 |
1.163例の原発乳癌組織のパラフィン切片を、HPA,DBAを用い直接酵素抗体法で染色した。また、他のレクチンUEAー,WGA,ConーA,PNA,SBA,HAA,RCAー120も若干例染色した。 2.臨床病理学的因子とHPA,DBA染色性との関連を検討すると HPAの陽性率は62.2%であった。HPA陽性率は病期が進行するほど、腫瘤径が大きいほど、組織学的リンバ節転移陽性症例、組織型では充実腺管癌と硬癌が乳頭腫管癌より有意に高率であった。しかし、核異型度、閉経状況ホルモンレセプタ-とは関連がなかった。 DBAの陽性率は34.4%であった。DBA陽性率は組織学的リンパ節転移陽性症例、プロゲステロンレセプタ-陰性例では有意に高率であった。しかし、核異型度、腫瘤径、病期、閉経状況、エストロゲンレセプタ-とは関連がなかった。 3.核DNAヒストグラムパタ-ンとHPA,DBA染色性との関連を検討すると HPA陽性例は有意にnonーdiplid型が多かったが、DBA染色性とは関連がなかった。 4.予後とHPA,DBA染色性との関連はHPAとDBA陽性例は陰性例に比べ累積健存率と生存率は共に有意に不良であった。 5.UEAー1,WGA,ConーA,PNA,SBA,HAA,RCAー120に関しては、検討症例数が少ないが臨床病理学的因子との関連は認められなかった。
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