研究課題/領域番号 |
01570731
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
山本 哲 旭川医科大学, 医学部, 助手 (50125415)
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研究分担者 |
柿坂 明俊 旭川歯科大学, 医学部, 助手 (60194677)
葛西 眞一 旭川歯科大学, 医学部, 講師 (40091566)
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キーワード | 部分肝移植 / リビングドナ- / コアク-リング / 体外循環 / アデニンヌクレオチド / エネルギ-チャ-ジ |
研究概要 |
移植臓器の摘出に際して、まず脾静脈および大腿静脈に内にカテ-テルを挿入し、大腿静脈の血液をコイル状のチュ-ブ(45ml)に還流し、コイル全体を摂氏4度の恒温槽内に固定して潅流血液の冷却を行なった後、ポンプにて毎分50mlの速度で脾静脈内に流入させ、肝葉温度の低下を試みたところ、深部温度を摂氏10度にまで低下させるのに1時間以上を必要とした。これは門脈左枝にカテ-テルを挿入し、摂氏4度の乳酸リンゲル液で選択的に肝左葉を冷却還流した時のデ-タ(30分で摂氏10度に到達)に比べ非効率的であった。 血液をもとどおりの状態に復したとき、肝組織中にふくまれるアデニンヌクレオチドをHPLCで測定したところ、両群のエネルギ-チャ-ジに有為な差はなかった。1週間の観察では、実験動物は前例生存し血液生化学検査上もほぼ正常に復していた。これらの結果、単純に冷却操作のみであれば、冷却される担体が血液でも、乳酸リンゲルでも、処置後のグラフトの代謝に対する影響はほとんどなく、また両者に差がないことが分かる。しかし、脾静脈からの潅流では十分な流量を得ることができず冷却に時間を要することは、グラフト摘出に際して温阻血時間が長くなるとともに、リビングドナ-の手術時間の延長にもつながり不適当と思われる。潅流方法の再検討として、門脈血全体を冷却するシステムが必要であり、次回は脾静脈を脱血ル-トとし、門脈本管のクランプとその本管への冷却血液の返却を試みる予定である。また門脈左枝にカテ-テルを挿入し、摂氏4度の乳酸リンゲルで冷却還流し切離した肝左葉を、全肝摘出の後に同所性に自家移植する実験では、実験動物が48時間生存するものの、なお移植肝の摘出状態に問題があり、門脈末梢に血栓を認め長期生存に到っていない。コアク-リング法による摘出臓器との比較が必要と思われる。
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