研究課題/領域番号 |
01570737
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
浅野 武秀 千葉大学, 医学部・二外科, 助手 (80143311)
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研究分担者 |
磯野 可一 千葉大学, 医学部・二外科, 教授 (70009489)
落合 武徳 千葉大学, 医学部・二外科, 講師 (80114255)
榎本 和夫 千葉大学, 医学部・附属病院・二外科, 助手 (70223659)
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キーワード | 肝機能 / アミノ酸 / 蛋白合成能 / 肝アミノ酸クリアランス / 針生検肝 |
研究概要 |
手術侵襲に対する肝代謝の特徴は、増大する筋蛋白より放出されるアミノ酸の蛋白再合成への利用増大である。前年度の結果を基として臨床例において筋放出アミノ酸量(mーRR)、全身アミノ酸利用率(CPCRーAA)を算出し、また、放出アミノ酸量の利用度を示す、指標として、アミノ酸利用指数(AAUIml/μmol=CPCRーAA/mーRR)を提案し検討した。mーRRは手術侵襲の程度に伴い増大し、尿中窒素排出量より算出するcatabolic indexと良く相関した。CPCRーAAは食道切除、肝切除例で何れも、手術後増大し、放出アミノ酸を蛋白合成に利用すべく上昇していた。これらは、手術侵襲により、生体が積極的に筋放出アミノ酸を利用し、創傷治癒力を亢進させていることをうかがわせるが、肝での利用の指標とはなり得ていなかった。しかしAAUIは、肝切除量に比例し低下し全身反応によるアミノ酸代謝の変動を加味した結果、全身反応から、肝機能の反応部分を浮彫りにしたと考えられた。殊に、肝不全を来した例においては、他の肝機能検査に先立って、AAUIは低下し、生命維持に直結した肝機能をリアルタイムにあらわすことが出来る指標として、有用であると示唆された。 更に我々の開発した針生検採取肝による短時間測定法を用いて、肝蛋白合成率の測定をおこなった。これは、肝の単位組織当たりの蛋白合成能をあらわしており、短時間(10分)のincubationで測定可能である。肝切除例において、開腹直後に採取し、蛋白合成率を測定すると、正常例では低く、肝硬変例では亢進していた。肝切除後の蛋白合成能増大には、限界があることから、正常肝では、十分な予備力をもって回転しているが、硬変肝では持てる能力のかなりの程度をすでに亢進させていることをあらわしており、術前に於ける肝予備力評価の一指標と考えられた。
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