研究課題/領域番号 |
01570740
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
江里口 正純 東京大学, 医科学研究所, 助手 (10114406)
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研究分担者 |
清水 浩 東京大学, 医科学研究所, 助手
藤井 祐三 東京大学, 医科学研究所, 助手 (40143515)
森 茂郎 東京大学, 医科学研究所, 教授 (30010424)
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キーワード | FAP(Feto-acinar Pancreatic Protein) / J-28モノクロ-ナル抗体 / 膵癌 / 腫瘍マ-カ- / 胎児性癌抗原 |
研究概要 |
1.胎児及び膵病変時のFeto-acinar pancreatic Protein(FAP)の膵での発現性について、J-28モノクロ-ナル抗体を用いて免疫組織学的に検討し、染色強度と染色面積の積により染色スコア(S.S.)にて表示した。 (1)胎児膵では、20-25週令をピ-ク(S.S.=10.1±1.6)として腺房細胞が強く染色され、その後は次第に弱くなる傾向がみられた。 (2)成人では、正常膵9/12(S.S.=2.0±1.5)、慢性膵炎16/16(S.S.=4.0±1.9)、膵癌37/37(S.S.=6.5±3.1)、他癌の膵浸潤9/9(S.S.=5.8±3.4)がFAP陽性を示した。膵癌と他癌の膵浸潤間では有意差を認めなかったが、その他の群間では、すべて有意差を示した。(P<0・02) 2.膵液の採取及びFAPの精製 (1)膵癌、慢性膵炎、胆石症などの患者より、術中あるいは内視鏡的(ERCP)に純粋膵液50検体を採取できた。 (2)膵癌患者膵液を用いて、SDS-PAGE後分子量75-130K.Dの間でGel Slideし、Extrapharにて蛋白を回収後、HPLCにてFAPを精製することができた。現在、精製FAPを用いてマウスに免疫を開始したところであり、FAPのアミノ酸分析も計画中である。 3.膵液中のFAPの測定及び他の腫瘍マ-カ-との比較ELISA(固相法)により膵液中のFAPを測定した。膵癌群15例中10例が陽性を示し、Sensitivity67%、Specificity87%であった。同時にCEA、CA19-9、CA-50、DUPAN-2を測定したが、FAPとの相関を示した腫瘍マ-カ-はなかった。FAPとDUPAN-2とのCombination assayによりSensitivityは80%と上昇し、この2種の組み合わせが一番良いと思われた(Specificity=83%)。しかしながら、血清中のFAPは膵液に比べ低濃度のためこの方法では測定できなかった。現在、より感度の鋭敏なSandwich assayを計画中である。
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