研究概要 |
ゴ-ルデンハムスタ-(雑種)膵よりランゲルハンス島(以下ラ島)を分離し、比較的急速な冷却速度(25℃/min)で凍結保存を試みた。2週間、液体窒素内で保存した後、37℃温浴槽内で急速解凍を施し、ラ島を得た。なお、凍結前後には、3日間の培養を付加した。 (1)解凍後のラ島の形態は、一部のラ島には凍結解凍の過程により被ったと思われる損傷がみられたが概して凍結以前のラ島と相違ない形態を保持し、免疫学的検索でもインスリン、グルカゴンの存在が確認され、その分布も正常ラ島と同様であった。 (2)凍結ラ島の内分泌能をグルコ-ス負荷によるインスリン分泌能でみると、グルコ-ス濃度を30mg/dlから300mg/dlと変化させると、非凍結ラ島では、159.6±46.6μU/10islets/60minから494.9±107.9μU/10islets/60minとインスリン分泌の増加がみられたが、凍結ラ島でも、161.8±47.9μU/10islets/60minから428.8±81.8μU/10islets/60minと同様の分泌能を示した。 (3)ラ島細胞のインスリン及びDNAの含有量は、凍結ラ島では非凍結ラ島に比し、約20%の減少を見た。これは凍結解凍の過程で被った細胞損傷によるものと考えられたが、細胞1個当りのインスリン含有量を示すと考えられるインスリン/DNA比は130,572±20,004と、非凍結ラ島の134,207±23,702とほぼ等しい値を示した。 (4)凍結ラ島の複製能を^3H-チミジンを用いたlabelling indexで見ると、凍結ラ島は2.00±0.46%と非凍結ラ島の2.11±0.32%と差はなく、腎の被膜下に移植した凍結ラ島のlabelling indexも対照と同様の値を示した。 (5)腎被膜下への移植実験では、移植後、血糖はすみやかに低下し、移植腎の摘出にて再び高血糖を示した。
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