研究課題/領域番号 |
01570751
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研究機関 | 山梨医科大学 |
研究代表者 |
山本 正之 山梨医科大学, 医学部第一外科, 講師 (30158307)
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研究分担者 |
飯塚 秀彦 山梨医科大学, 医学部第一外科, 助手 (60184347)
青山 英久 山梨医科大学, 医学部第一外科, 助手 (60159308)
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キーワード | 多臓器不全 / 肝不全 / 動脈血ケトン体比 / 肝臓死 / 消化管出血 / 肝エネルギ-レベル / 細菌貧食能 |
研究概要 |
臨床例においてretrospectiveに肝不全の定義づけを図った。常用されている検査値から肝不全と定義し、その可逆性を予知することは容易ではないが、臨床的解析結果では、結成ビリルビン値が10mg/dl以上への上昇、プロトロンビン時間活性値30%以下への下降が、意識障害と共に観察される場合には肝不全と定義でき、可逆性は動脈血中ケトン体比の連続的観察によって可能であることを発表した。肝臓においてのみ産生されるrapid turnover proteinのうち、血液凝固因子や細菌貧食能と関連する補体蛋白、フィブロネクチン等もこの動脈血中ケトン体比の変動と相関して上下した。動脈血中ケトン体比が0.25以下に低下する場合には現存の保存的治療では末期臨床症状としての消化管出血を起こして死亡することが確認された。この場合、臨床例からみた肝臓死の定義の確率-肝再生機転は失われ肝の中心臓器としての制御機能は失われる-は十分可能であると考えられた。一方、軽度肝障害の可逆性に対して、肝切除術後症例をとりあげた。術後肝不全に陥らせることなく、より早期の退院が可能となる術後管理が要求されている。肝切離縁創傷治癒機転遅延因子の解明という見地より,動脈血中ケトン体比を中心において、上記rapid turnover proteinや炎症時に腫瘍臓器間の媒介物質(ケルカル・メディエ-タ-)となりうる多核白血球のス-パ-オキサイドディスムタ-ゼ活性、エラスタ-ゼ活性、IL1、IL6、TNF等の活性を測定し、肝エネルギ-レベルの維持が軽度肝不全時にも他臓器障害に移行させない治療方法として重要であることを示した。非致死レベルの肝エネルギ-レベルの低下であっても、遷延する場合には胸水貯溜しやすいことも見いだされた。
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