研究課題/領域番号 |
01570761
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
池井 聰 熊本大学, 医学部, 助手 (90136705)
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研究分担者 |
広田 昌彦 熊本大学, 医学部・附属病院, 医員
山根 隆明 熊本大学, 医学部・附属病院, 助手 (20210502)
酒本 喜与志 熊本大学, 医学部, 助手 (10162306)
守 且孝 熊本大学, 医療技術短期大学部, 教授 (10040213)
中野 眞汎 熊本大学, 医学部・附属病院, 教授 (40002125)
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キーワード | 膵全摘術 / グルカゴン / 点鼻薬 / 血糖コントロ-ル / 高糖原性アミノ酸血症 / 高遊離脂肪酸血症 / 脂肪肝 / 高アンモニア血症 |
研究概要 |
膵全摘術後は、血糖コントロ-ルの不安定化の他、高アミノ酸血症、高アンモニア血症、脂肪肝、高脂肪酸血症などアミノ酸、脂質代謝にも不全が生じる。これらの障害の一因としてグルカゴンの欠落が考えられるが、我々は膵全摘症例に対して試験的にインスリンとグルカゴンの併用投与を行い、糖質、アミノ酸、脂質の代謝に対する影響を解析した。またグルカゴンの血中半減期がきわめて短時間であるため、頻回投与が必要となるが、侵襲が少なく、頻回投与が可能な投与法をめざして点鼻薬の開発を進めている。 解析の結果、膵全摘後の術後急性期にはグルカゴンを持続静注することにより血糖の安定化が達成でき十分なエネルギ-投与が可能であることが確認された。また、回復期〜社会復帰期においてはグルカゴンの皮下投与によりアミノ酸、脂質代謝が円滑化することが確認された。しかし、単回投与ではその効果は一過性であり、より作用持続時間の長い製剤あるいは頻回投与可能な製剤の必要性が示された。しかし、膵全摘術は種々の代謝上の問題をひきおこすため、できるだけ避けるよう努めている。そのため症例数が少なく、臨床例では未だ十分な解析には至っていない。 グルカゴン点鼻薬については、三種類の製剤が開発され、健常人ボランティア、膵全摘症例において、点鼻投与によるグルカゴンの吸収、体内での活性発現が確認され、頻回投与可能な製剤として臨床応用が期待された。しかし、グルカゴン自体が高価な薬剤であるので、さらに吸収促進剤に工夫を加え、吸収効率の良好な製剤の開発をめざす必要がある。
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