研究課題
研究成果をin vivoとin vitroの2種に大別し、以下に要約して述べる。(A)in vivo実験結果:Wistar系ラットより分離したKupfferの細胞および好中球とEndotoxin(E.coli0127B_8lipopolysaccharide)を10%FBS加RPMI1640培養液を用いてincubationし1・4時間後の培養液を採取し10000Xgの遠心で得た上清を冷凍保存した。なお、incubationに供するまでの各種の条件設定を決定する予備実験に時間を要した。この成果については、裏面に付記される大学院生の論文内容にかえさせていただく。既述の上清を20%含有する潅流液(10%FBS加RPMI1640培養液)をラット門脈より注入し胸部下大静脈から再び潅流循環するという方法により、60分間潅流後の肝組織の電顕的・組織化学的に形態学的検討を行なった(実験群)。なお対照潅流液として10%FBS加RPMI1640培養液を用い、潅流した(対照群)。潅流中の胆汁流出を測定し、胆汁中の胆汁酸分析とビリルビン量を測定した。その結果、対照群でも形態学的に弱干の変化を認めたが、実験群で明らかな小器官構造の変化を生じ、酵素局在の異常を伴った。胆汁排出量および総排泄ビリルビン量も弱干減少し、排泄胆汁酸の成分にも異常胆汁酸の出現を認めた。(B)in vitro実験結果:上記の要領で得た上清を用いて、分離肝実質細胞の培養を試みた。上清による細胞障害性についてはWistar系雄ラット肝実質細胞を用いて、modulationについては^3H-leucine incorporationの肝実質細胞内摂取率を指標としてC3H/HeNおよびC3H/HeJマウス肝実質細胞を用いて確認した。胆汁うっ滞効果については、明確に証明しうるデ-タはなかった。既知のサイトカインとの比較も年度頭初の目的を終了し、肝実質細胞に対しては、IL-6と上清の類似性を確認している。以上の詳細については裏面の大学院生論文にかえさせていただく。
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