研究概要 |
1.臨症例における血中SPanー1抗原測定の検討。 血中SPanー1抗原測定による膵癌診断、良性膵疾患との鑑別およびモニタ-リングの意義について検討を行った。膵癌を中心とした消化器癌での検討で、膵癌で92.3%,肝癌で34.8%,胃癌で16.7%,大腸癌で22%と膵癌で最も高い陽性率が認められた。少数例での検討であるが、stage I〜IIでの陽性例もあり、早期診断の可能性も示唆された。 しばしば鑑別診断に難渋する膵癌と慢性膵炎の検討で、SPanー1抗原は88.2%の膵癌の正診率をしめし、また慢性膵炎の一病期である腫瘤形成性膵炎との鑑別における正診率も87.9%と他の腫瘍マ-カ-と比べても最も高いことが判明した。治療効果判定やモニタ-リングでの血中SPanー1抗原値は、膵癌切除例においてその病態をよく反映することも明かとなった。以上、血中SPanー1抗原の測定は膵癌の診断、膵良性疾患との鑑別、モニタ-リングに有用であることが判明した。 2.Nd2の膵癌のRadioimmunodetetion,Radioimmunotherapyへの基礎的、臨床的応用。 昨年度の検討で、Nd2の膵癌組織への高い腫瘍集積性が認められ、さらに担膵癌ヌ-ドマウスにおいて良好な腫瘍の描出が可能であった。今回はさらに腫瘍イメ-ジングの条件を改良し、担膵癌ヌ-ドマウスでの基礎的検討をかさね、臨症例でも試みた。^<111>InーNd2を膵頭部癌患者に投与することによって、腫瘍に一致した良好な腫瘍イメ-ジングがえられた。今後は症例をかさね、膵癌早期診断の可能性についても追究する予定である。臨症例においても腫瘍集積性が確認されたことより、現在、抗体活性を保持したNd2とAdriamycinとの複合物の作成にも成功し、膵癌に対するミサイル療法の可能性について基礎的に検討を行っており、さらに今後、^<131>IーNd2,^<90>YーNd2によるRadioimmunotherapyについても検討を行う予定である。
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