研究概要 |
[方法]家兎肝の摘出:ネンブタ-ル麻酔下に開腹し、門脈より0〜4℃に冷却したコリンズ液にて灌流冷却の後肝を摘出した。肝灌流:雑種成犬より採取した血液200mlを灌流液として用いた。灌流は40ml/minの流量にて門脈より行い、門脈圧が30cmを越えたところで灌流を中止した。実験群:グル-プ1・コントロ-ル群(生食水10ml投与)グル-プ2・プレドニゾン(5mg)投与群・グル-プ3・シクロスポリン(20mg)投与群 [結果]灌流持続時間:グル-プ1は各々4.6,5.2,5.7時間であった。グル-プ2では各々4.9,6.2,5.1時間であった。グル-プ3では各々4.1,4.9,4.3時間であった。各グル-プとも灌流開始後3時間以内に門脈圧が30cmを越えたものは灌流技術的なトラブルと考え除外した。energy charge(EC):灌流開始1時間でグル-プ1 0.826、グル-プ2 0.832、グル-プ3 0.808、3時間でグル-プ1 0.817、グル-プ2 0.326、グル-プ3 0.811であった。血中ケトン体比:グル-プ1では1時間で0.661、2時間で0.570、3時間で0.839、4時間で0.551、5時間で0.316であった。グル-プ2では、1時間で0.753、2時間で0.826、3時間で0.814、4時間で0.632、5時間で0.276であった。グル-プ3では、1時間で0.733、2時間で0.795、3時間で0.838、4時間で0.392、5時間で0.305であった。[考察]灌流持続時間、EC、血中ケトン体比ともコントロ-ル群と免疫抑制剤投与の間に有意の差はみられなかった。灌流持続時間に関しては当初の予定よりかなり短かったので、実際に肝不全動物を用いる場合には、採取時の冷却灌流液を工夫する必要がある。
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