研究概要 |
本年度は、KYSMー1をペプシン処理しF(ab')2uフラグメントを作製後、RI標識して食道癌可移植ヌ-ドマウスに投与し生体分布を検索した。さらに新たにIgG型の抗食道癌モノクロナ-ル抗体を作製しその反応特異性を検索するとともに,Intact抗体およびそのF(ab')2を作製後、同様に食道癌可移植ヌ-ドマウスに投与し生体内分布およびimagingを検索した。まず125I標識KYSMー1F(ab')2uを食道癌可移植ヌ-ドマウスに投与して抗体の体内分布を検索した結果、投与後3日目の腫瘍の%ID/gおよび腫瘍/臓器比は他の臓器と比較し有意に高値を示し、腫瘍に抗体の特異的集積を認めた。今回のフラグメントを用いて腫瘍集積が得られたことは、IgM型のモノクロナ-ル抗体でもF(ab')2uを作製することで、targetingやimagingの可能性を示唆するものである。次に新たに作製したIgG型のモノクロナ-ル抗体(KISー1)の癌組織との反応は、食道扁平上皮癌93%(28/30)で高い反応陽性率を示した。しかしながら胃癌や大腸癌では7%(7/6)と0%(0/5)で反応腸性率は低値であった。125IをIntact抗体およびF(ab')2fragmentに標識し食道癌可移植ヌ-ドマウスに投与し生体内分布を検索したところ、Intact抗体での腫瘍の%ID/gおよび腫瘍/臓器比は、抗体投与後5〜7日目に他の臓器よりも高値を示した。一方F(ab')2fragmentでは,抗体投与後3日目に腫瘍の%ID/gおよび腫瘍/臓器比が他の臓器よりも高値をしめした。さらにtumorもimagingも可能であった。以上より,KISー1およびKISー1F(ab')2が特異的に腫瘍に集積することからKISー1を用いてヒト食道癌のtargeting療法やtumor imagingの可能性が示唆された。そこでF(ab')2fragmentに抗癌剤のconjugateを試みているが、抗体や抗癌剤の活性に問題が多く,現在詳細に検討している段階である。
|