研究概要 |
モノクロ-ナル抗体を応用した食道癌の新しい診断と治療を開発する目的で,ヒト食道癌細胞に対するマウス型モノクロナ-ル抗体,KYSMー1(IgM)とKISー1(IgG1)を作製し、その免疫組織化学的反応特異性および両モノクロ-ナル抗体を放射性ヨ-ドで標識し、担癌ヌ-ドマウスに投与してそれらの生体内分布を検索し、両モノクロ-ナル抗体が食道癌の診断や治療に応用可能であるか否かについて検討した。非癌(正常)組織との反応性は、KYSMー1およびKISー1とも正常食道粘膜以外の正常組織との反応性は認められなかった。癌組織との反応性は、KYSMー1およびKISー1は食道扁平上皮癌92%(58/63)と93%(28/30),肺扁平上皮癌100%(4/4)と86%(6/7)で扁平上皮癌に高い反応陽性率を示した。しかしながら胃癌、大腸癌、肺腺癌とでは反応陽性率は低率であった。 次に ^<125>Iで両モノクロ-ナル抗体を標識し,担癌ヌ-ドマウスに投与し、各臓器の集積を検討すると, ^<125>I標識ーKYSMー1( ^<125>IーKYSMー1)は肝臓や脾臓への取り込みが多く、腫瘍への高い集積を認めなかった。一方 ^<125>I標識ーKISー1( ^<125>IーKISー1)は、5日目,7日目で他の臓器と比較して腫瘍に高い集積を認めた.さらにKISー1F(ab^')_2を作製し, ^<125>Iおよび ^<131>Iで標識して,食道癌可移植ヌ-ドマウスに投与し腫瘍集積を検討したところ、3日目で高い腫瘍集積が得られた。以上のことからKISー1が食道癌の新しい診断や治療に臨床応用できることが強く示唆された。
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