1.磁性流体アクチュエ-タの基本的特性を検討するため、磁場の作用による磁気圧の発生について検討した。磁性流体として、フェリコロイドHCー50を使用した。磁性流体に磁界を加えるためソレノイドを製作した。鉄心には強磁性体のセメンジュ-ルを用いた。形状は断面が1cm×1cmの正方形で、有効磁路長21cm、ギャップ1cmの環状である。鉄心にはエナメル線1500回を巻いた。(1)直流電流5Aの時ギャップに生じた磁束密度は0.32Tであった。また交流電流に対する磁束密度は、2ー3H_2の抵周波数で最大で、周波数の増加(20Hzまで)に伴い減少した。なお1A以下の電流においては、交流磁束密度が直流磁束密度より大きかったが、2A以上では直流磁束密度の方が交流磁束密度より大きかった。(2)ガラス製U字管内の磁性流体ー空気界面や磁性流体ー水界面にソレノイドにて磁界を加えた。直流5Aで57mmHgの磁気圧が得られた。また交流磁果に対しては、0.5以下の電流では2Hzにおける磁気圧が直流磁界に対する圧よりも大きい値を示したが、0.8A以上の電流では直流磁界に対する圧力の方が大きかった。なお、圧と直流磁界との関係は二乗則の計算値とほぼ一致した。 2.3つのソレノイドをガラス製U管に沿って並べアクチュエ-タとした。ソレノイドを発振器からの信号(0.4ー10Hz)により順次励磁し、磁性流体の移動に伴うU字管からの空気圧を測定した。2Hzで55/0mmHg、6Hzで75/ー10mmHgの空気圧が得られた。また磁性流体に移動をCdSで測定したところ40mm程度の移動が得られた。 3.磁性流体アクチュエ-タは構造が簡単、摩耗部品を持たないなど人工心蔵駆動用に適している。試作装置は右心臓駆動に十分である。また磁界を0.5T程度にすれば左心臓駆動も可能である。磁性流体アクチュエ-タで血液ポンプ内弾性膜を駆動する人工心臓は有望である。
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