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1990 年度 実績報告書

一側肺静脈閉塞の病側及び反対側の肺血管床に対する影響

研究課題

研究課題/領域番号 01570774
研究機関東北大学

研究代表者

尾形 寛  東北大学, 医学部, 講師 (40160741)

研究分担者 堺 武男  東北大学, 医学部付属病院, 助手 (90186990)
キーワード妊娠羊 / 胎仔手術 / 肺静脈閉塞 / 肺血管床 / 組織学的検討
研究概要

昨年度に既に行った実験での仔羊の肺の組織標本を作製した。標本は、各葉から3μmの切片を切り出し、ゴ-ルドナ-・トリクロ-ムで染色した。組織計測は、標本を 倍に投影拡大したものをトレ-スしたものを用いた。肺小動脈は、内弾性板ならびに外弾性板をトレ-スし、デジタイザ-上で再度トレ-スし、コンピュ-タ-で血管を完全に伸展させた状態に基準化して、半径(R)における中膜の厚さ(D)を求め両対数グラフ上にプロットし、その回帰直線を標本間で比較した。肺静脈は、できるだけ円形に近い標本を選び、内弾性板ならびに最外縁の筋線維をトレ-スして肺動脈と同様の方法でRとDを求め、両対数グラフ上にプロットし回帰直線を求めた。さらに実験動物の標本に加えて肺静脈閉塞症状を呈して死亡した症例の剖検肺組織の標本を作製し、同様の方法で検討した。生後5カ月で死亡した先天性右肺静脈閉塞症1例、生後1週間以内に死亡した総肺静脈還流異常症3例の合計4例である。結果は、先天性右肺静脈閉塞症において、肺小動脈、肺静脈とも中膜の肥厚が著しく、肺静脈は肺動脈と類似の組織所見'ARTERIALIZATION'を示していた。閉塞側と反対側とでは、有意な差はなかった。総肺静脈還流異常症では、同年令の心肺に異常の無い死亡症例と比較したが、肺小動脈・肺静脈とも中膜は有意に肥厚して、典型的'ARTERIALIZATION'を示す肺静脈も認められた。動物実験例では、双胎例で肺静脈結紮手術を施行しなかった方をコントロ-ルとして、手術施行例と比較した。手術例では、左上肺静脈のみを結紮した例が多かったが、葉間で有意な差が認められず、コントロ-ルと比べると肺小動脈・肺静脈とも有意に肥厚していた。以上より胎児期には、肺血流量は左右心室の総拍出領の7%にすぎないとされているが、このような少ない血流量でも胎児期に閉塞病変があると出生時に肺静脈・肺小動脈の中膜肥厚を呈することが解った。

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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