研究課題/領域番号 |
01570776
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
三井 利夫 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (60010170)
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研究分担者 |
筒井 達夫 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (50112868)
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キーワード | Signal Averaged ECG / QRSD / RMST / RMS_<40> / INアドレナリン使用量 / 術後VT / CABG症例 / RMST減少率 |
研究概要 |
1)開心術症例(n=68)でSignal Averaged ECGを測定し、得られる3つのパラメ-タ-(QRSD、RMST、RMS_<40>)と、病院死、IABPの使用、術後VTの有無、ノルアドレナリン使用量(>10μg/kg)、大動脈遮断時間(>2hrs)との相関を調べた。病院死とIABPについては、術前と拍動再開時とを検討し、VT、ノルアドレナリン使用量、大動脈遮断時間については、拍動再開時を調べた。病院死については、術前値では相関はみられず、拍動再開時のRMSTのみ、有意低値であった(P<0.05)。IABPでは、術前QRSDは有意に延長(P<0.05)しており、拍動再開時はQRSD、RMS_<40>にて相関がみられた(P<0.05)。術後VTについては、拍動再開時のQRSD、RMST、RMS_<40>ともP<0.005の強い相関を示した。ノルアドレナリン使用総量(>10μg/kg)も、拍動再開時のQRSD、RMST、RMS_<40>とP<0.005の強い相関を示した。大動脈遮断時間では、RMSTのみP<0.005の有意の相関を示した。次に、QRSD≧120ms、RMST≦60μV、RMS_<40>≦40μVを境界値としてsensitivityとspecificityを求めると、VT発生のsensitivityは57-67%、specificityは66-85%、ノルアドレナリン使用(10μg/kg)のsensitivityは79-92%、specificityは44-60%であった。以上より、Signal Averaged ECGのパラメ-タ-と術後の致死性不整脈および心機能低下との強い関係が示された。 II)CABG症例(n=19)における術後予後と術前・術直後のRMST減少率との相関を調べた。RMST減少率はノルアドレナリン使用(<0.75μg/kg)、術後早期EF非改善例ともP<0.05で有意に相関し、RMST減少率が大きいもの程、心収縮能が低下していることを示した。RMST減少率が50%以上の症例(n=8)のうち、病院死2例、IABP3例、ノルアドレナリン大量使用(>0.75μg/kg)4例が含まれており、本法はCABG症例の術後管理上有用であると考えられた。
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