研究課題/領域番号 |
01570779
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
渡辺 洋宇 金沢大学, 医学部, 助教授 (20019897)
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研究分担者 |
小田 誠 金沢大学, 医学部, 助手 (50224241)
清水 淳三 金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (50201554)
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キーワード | 養子免疫療法 / 肺癌 / 腫瘍浸潤リンパ球 / LAK細胞 / CD8陽性細胞 / 細胞傷害活性 / 高密度細胞培養装置 / 癌性胸膜炎 |
研究概要 |
前年度は肺癌患者の末梢血リンパ球(PBL)および局所リンパ節リンパ球(RLNL)から誘導されるLAK細胞を用いての養子免疫療法に関する基礎的ならびに臨床的研究をおこなった。本年度は、腫瘍浸潤リンパ球を用いた養子免疫療法に関する基礎的ならびに臨床的研究を主体に行った。 1.腫瘍浸潤リンパ球(TIL)より誘導されるTILーLAKによる養子免疫療法の基礎実験を行った。TILのNK活性はRLNLと同様に、PBLのそれに比べて有意に低値であった。しかし、TILのNK活性、LAK活性、自己腫瘍に対する細胞傷害活性は、OKー432あるいはrILー2存在下で培養するとその増強がみられたが、PBLやRLNLと比較すると有意に低かった。 2.TILのシミュレ-ションではアロジェニック作働細胞のアロジェニック標的細胞に対するCTL活性は、NK活性よりもむしろLAK活性に対して強い相関関係を示し、TILの反応性に類似した。このことより、TILより誘導された作働細胞群はNK細胞よりもCTLおよびLAK細胞類似の活性をもつことが示唆される。TILの表面マ-カ-は、T細胞優位であり、マクロファジ-やB細胞、さらにはNK細胞のマ-カ-を持つものは少数であった。培養によってT細胞の割合がふえ、特にCD8陽性細胞が有意に増加した。このことより、TILの細胞傷害活性は特異性が比較的限定されていないCTLおよびLAK類似の活性であることがわかる。 3.TILーLAKによる養子免疫療法の臨床応用として、癌性胸膜炎を合併する肺癌患者の胸水を採取し、TILを分離し、高密度細胞培養装置を用いてrILー2とともに1ー2週間培養し、これを患者胸腔に再注入する治療を3例に4回施行した。その結果3例中2例で胸水の消失をみとめた。
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