研究課題/領域番号 |
01570783
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
川口 章 大阪大学, 医学部, 助手 (30195052)
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研究分担者 |
福嶌 教偉 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
中田 精三 大阪大学, 医学部, 助手 (50116068)
白倉 良太 大阪大学, 医学部, 助手 (00116047)
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キーワード | 心臓移植 / 慢性拒絶反応 / 血管内皮細胞損傷 / 冠状動脈狭窄 / ラット |
研究概要 |
〔目的〕現在、心移植後の急性拒絶反応については、欧米で多年に渡る精力的な研究が行われ、成績の向上をもたらした。一方、移植後数年単位で発生してくる冠動脈病変、即ち慢性拒絶反応については、5年生存症例の30%以上に発生するといわれ、しかもその予後は不良であるにもかかわらず、いまだにその研究は端緒についたところである。慢性拒絶反応は血管内皮細胞のアロ抗原に対する免疫反応であるといわれている。この血管内皮細胞のアロ抗原の発現に、宿主側の因子である免疫能力だけでなく、ドナ-側の因子である血管内皮細胞の細胞膜の状態も関与している可能性がある。つまり、心摘出時、保存時及び移植操作時の阻血に生じる血管内皮細胞の損傷が、移植後遠隔期の血管内膜の増生、即ち慢性拒絶反応に関与している可能性もある。本年度の研究では、免疫抑制剤を使用しなくても急性拒絶反応の起こらない系(LewisラットからFisherラット)を用いて異所性心移植を行い、免疫抑制剤に影響されない慢性拒絶反応モデルを作成できるか否かを検討した。 〔対象と方法〕ドナ-に8ー9週齢200gのLewisを、レシピエントに8ー9週齢200gのFisherラットを用い、OneーLindsey法にしたがって移植した。移植後2,4,8週でグラフトを摘出し、光学顕微鏡で組織学的所見を検討した。 〔結果〕2、4週で摘出したグラフトでは、軽度のリンパ球浸潤を認めたが、冠動脈の以上は認められなかった。これに対して8週で摘出したグラフトでは、中軽度のリンパ球浸潤に加えて冠動脈の内膜並びに中膜の肥厚を認めた。 〔結語並びに今後の方針〕LewisラットからFisherラットに異所性心移植を行うことによって、免疫抑制剤に影響されない慢性拒絶反応モデルが作成できることが示唆された。今後カフを応用した頸部異所性心移植をこの系で行って温阻欠時間を最小にし、保存条件が慢性拒絶反応にどの様に影響するかを検討する方針である。
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