研究課題/領域番号 |
01570796
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
藤原 巍 川崎医科大学, 心臓外科, 教授 (90090224)
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研究分担者 |
梶谷 文彦 川崎医科大学, 医用工学, 教授 (70029114)
福田 久也 川崎医科大学, 胸部外科, 助手 (50199238)
野上 厚志 川崎医科大学, 心臓外科, 講師 (60140521)
勝村 達喜 川崎医科大学, 胸部外科, 教授 (70090222)
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キーワード | 左冠動脈血流波形 / 超音波パルスドプラ-血流計 / 大動脈弁狭窄症 / 人工弁置換術 |
研究概要 |
左室圧負荷の左冠動脈血流の拍動特性に及ぼす影響を解明するため、大動脈弁狭窄症10例を対象とし、超音波パルスドプラ-血流計を用いて術中、人工弁置換術前後の左冠動脈前下行枝の流速波形を計測、その位相流を解析し、大動脈弁狭窄症の左冠動脈血流波形の特性と手術の効果について検討した。正常例で計測した左冠動脈血流は拡張の開始とともに急速に増大してピ-クに達し、ゆるやかに減少、つぎの収縮の開始とともに減少する拡張期優位の波形を示した。大動脈弁狭窄症では収縮早期の強い逆流と収縮後半から拡張期にかけて血流はゆるやかに増加し、拡張期最大流速に達するまでの時間の著しい遅延を見た。拡張の開始からピ-クに達するまでの時間T-DPVは平均184.4±33.1msであった。正常例で計測したT-DPVは64.1±14.1msであった。大動脈圧、左室圧波形と冠動脈血流波形を同時記録し、収縮期逆流の位置的関係をみると収縮期逆流は左室圧波形のピ-クにあり、左室大動脈圧差が最大となる点に一致し、電磁流量計で計測した上行大動脈流量波形との位置関係でみるとストロ-クボリュ-ムのピ-クの直前にみられ、収縮期の逆流は左室心筋内圧が最大となるときに生じたと考えられた。 人工弁置換術後、閉胸直前に計測した左冠動脈血流波形は収縮期の逆流は減少し、拡張期血流の増加の促進がみられた。拡張の開始から拡張期最大流速に達するまでの時間T-DPVは90.5±18.8msと術前の184.4msより有意に短縮したが、正常例よりはなお延長し、左室肥大の影響と考えられた。拡張期最大流速は術前の90.5±28.0cm/secから術後122.5±17.2cm/secと増加した。これらの所見から左室肥大心では拡張期の心筋の弛緩の障害による冠動脈血流量の減少をともない、人工弁置換術は拡張期の冠動脈血流量を増加させることが明らかとなった。
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