動脈瘤のガラスモデルを用いてin vitro simulatorを作成し、動脈瘤の血管内治療のシュミレ-ションをビデオカメラを用いて観察解析を行っている。本年度は、人間における内頸動脈、脳底動脈に生じる巨大動脈瘤モデルをガラスにより作成し、水流ポンプにて人工血流の還流を行い、血流を生じさせることにより、あたかも血管内をバル-ンカテ-テルが走行するが如き状態をつくることが可能となった。この方法を用いて現在我々が開発中のバル-ンカテ-テルをあらかじめ試用することが可能となった。 さらにこのシュミレ-タ-においてバル-ンカテ-テルを用いて、臨床例における手術手技を考案している。このなかでは2つのバル-ンカテ-テルを用いたダブルバル-ン法が動脈瘤開口部の小さな動脈瘤に応用しうると考えられた。また、ビデオカメラによる観察により動脈瘤内の乱流が、血栓形成に大きく関与していること、またバル-ン閉塞後の破裂に関与していることが判明した。また巨大動脈瘤モデルでは開口部を大きくした場合、閉塞バル-ンが血管内腔に突出しやすく、バル-ン形状を考慮しなければならないと思われた。バル-ンを複数個使用する場合の遺残スペ-スにおこる乱流も治療効果に影響を与えるものと考えられた。 これらの結果の一部は、平成元年11月に行われた第5回日本脳神経血管内手術法研究会で発表した。
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