研究概要 |
本研究の目的は,中枢神経系奇形の発生病態を解明するとともに,何からの治療手段により神経機能の回復をニュ-ロンの成長・発達の正常化とともにえることにある。その方法論においては,各発生病態に基づいた原因の除去とともに,神経移植等の可能性を検討するものである。さらには,予防医学的観点においては,癒合不全等に共通するoverーgrowthの存在に注目し,中枢神経系奇形の病態進行以前の発生段階における診断法を確立することにある。本年度の研究成果として,これまでに行ってきた胚培養下における胎仔観察のもとで,癒合不全を生じた奇形モデルに正常胎仔の脊髄を移植した。dayl1.5の癒合不全胎仔6匹に,同日の正常胎仔脊髄を実体顕微鏡下に移植した。そして,24時間後のday12.5まで観察した。結果において,胎仔・胎仔間移植は6例の癒合不全モデルに行い,3例に24時間の生存及び,移植神経のviabilityを確認した。全胚培養法による中枢神経系奇形の実験モデルの報告は極めて少ない。同研究成果には,本実験系の基礎デ-タが集積され,今後の奇形胎児の経時的観察,さらには移植法による胎生期奇形修復の可能性の追及に大きな手がかりが得られたものと考えらる。
|