研究概要 |
脳血管攣縮をおこした血管のアラキドン酸リポキシゲナ-ゼの活性化が観察されたため、その活性化が、白血球浸潤によるものか否かをまず検討した。ブタ白血球より得られた5-リポキシゲナ-ゼを使い、ウサギによりつくられた抗体が、犬白血球の5-リポキシゲナ-ゼと交叉することをたしかめた。 犬two-hemorrhageモデルを用い、7日目の攣縮をおこした血管と、正常な血管を上記の抗体と反応するかをしらべてみたが、両者とも反応しなかった。一般に、実験モデルでは攣縮血管でも、白血球浸潤は、ほとんど認められないが、今回の組織学的検索においても、白血球はそまらなかった。犬の白血球は、12-リポキシゲナ-ゼを持っている、という報告があるため、ブタ白血球の12-リポキシゲナ-ゼの抗体を用い、同様に検索を行なったが、血管壁、白血球ともに染色されなかった。5-リポキシゲナ-ゼがそまらなかった理由として、抗原量の不足、白血球の5-リポキシゲナ-ゼと血管壁の5-リポキシゲナ-ゼが異種タンパクであること等が考えられ、現時点では、これ以上の検索は、無意味であると思われた。 12-HPETE髄注では、犬に遅発性血管攣縮を作製することがきでたが12-HETEでは,まだ3頭と数は少ないが、15%程度の弱い収縮をおこすにとどまった。現在注入方法の検討をおこない、12-HETE注入の例数をふやし、12-HPETE注入例では、経時的に髄液を採取し、注入した12-HPETEの代謝産物の定量をおこなう予定である。
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