レセプタ-からみた脳移植コリン作動性ニュ-ロンの可塑性について

1990 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01570814
• 研究機関: 岡山大学
• 研究代表者: 水川 公直 岡山大学, 医学部, 講師 (40137154)
• キーワード: 脳移植 / レセプタ- / レセプタ-・オ-トラジオグラフィ-法

研究概要

昨年度より、脳内各種レセプタ-の分布を詳細に検索するためのin vitroレセプタ-ーオ-トラジオグラフィ-法の確立に勤めた。その結果、各種放射性リガンドを利用して、コリン系、ド-パミン系、セロトニン系それにセカンド-メッセンジャ-系などのレセプタ-に関するレセプタ-オ-トラジオグラフィ-法を確立することが出来た。
今年度においても、黒質線状体のド-パミン系を利用し、パ-キンソン病の病態モデルについて、ド-パミン産生細胞の移植を行い、各種レセプタ-について検索した。この結果、へミ-パ-キンソンモデルラットの線状体においてムスカリン性コリンレセプタ-には変化が認められなかったが、ド-パミン系では障害側を含む正常側においても線状体におけるアップーレギュレ-ションが認められ、移植により正常化する事が明かになった。一方、線状体内の移植片の周辺部近傍で明かなMazindolのバインデングサイトが認められた。このことは、移植によりド-パミンの取り込みの部位が生じたことを意味しているものと考えられた。
また、ラットのMynert核に脳定位装置を利用して、イボテン酸を注入し、コリン作動性ニュ-ロンを破壊し、その後、大脳皮質にコリン産生細胞の細胞浮遊液を移植した。これらのモデル動物を利用して、各種レセプタ-についてレセプタ-ーオ-トラジオグラフィ-法で検索した。その結果、大脳皮質部の移植着床部位に、明かなQNBコリンレセプタ-が出現しており、ド-パミン系の移植例とはレセプタ-面から異なっていることが明かになった。

研究成果

• [文献書誌] Mizukawa,K.et al.,: "Alterations of protein kinase C in rat brain by intraventricular administration of thyrotropin releasing hormone(TRH):quantitative investigation by in vitro macroーautoradiography" Neurosciences. 16. 353-358 (1990)
• [文献書誌] Mizukawa,K.et al.,: "Ultrastructural changes of the substantia nigra,ventral tegmental area and striatum in 1ーmethylー4ー1,2,3,6ーtetrahydropyridine(MPTP)ーtreated mice" Res.Commu.Chem.Pathol.Pharmacol.,. 67. 307-320 (1990)
• [文献書誌] 小川 紀雄 他: "老齢ラット脳におけるNMDAレセプタ-の減少とBifemelane Hydrocholoride投与による回復" Geriatric Medicine(老年医学). 28. 1845-1849 (1990)
• [文献書誌] 佐藤 博彦 他: "老齢ラット脳におけるソマトスタチン・レセプタ-の減少と塩酸b:femelane投与による増加作用ーレセプタ-・オ-トラジオグラフィ-法による検討ー" 日本老年医学会雑誌. 28. 23 (1991)
• [文献書誌] 水川 公直、他: "[脳と運動のレセプタ-] 黒質細胞移植による運動機能の修復とド-パミン産生およびレセプタ-の変化" 平凡社, (1990)
• [文献書誌] Nishino,H.,et al.,: "[Alzheimer's and Parkinson's Disease II:Basic and Therapeutic Strategies] Longーterm survival of grafted cells,dopamine synthesis/release,receptor activity,and functional recovery after grafting of fetal cells in model animals of hemiーParkinson's disease" Plenum Publishing Corporation,