骨粗鬆症患者27名、慢性関節リウマチ患者9名、健常者53名における破骨細胞活性化因子(osteocalst-activating factor;OAFと略)活性を、ヒト単球による合成ハイドロキシアパタイトの吸収試験によって測定した。その結果健常者に比べ、慢性関節リウマチ患者では有意に亢進していたが、骨粗鬆症患者では有意差がなかった。慢性炎症によるリンパ球、単球の動員がOAF活性を亢進させたものと推測された。また健常者をふくむ17名において腸骨生検を同時に施行し、OAF活性と骨組織形態計測パラメタ-との関連を検討した。その結果OAF活性は骨形成率や骨標識面などの骨形成に関するパラメタ-と有意に相関し、骨吸収に関するパラメタ-とは無相関であった。このことからOAFはまず骨芽細胞に作用する可能性が示唆された。このOAF上清中のサイトカインについて検討したところ、OAFの実体の一部と考えられるIL-1とは有意の相関がなかったことから、このOAF活性は他の局所因子を反映している可能性が示唆された。 骨芽細胞に対するIL-1の作用を検討するために、ヒト由来の骨芽細胞様細胞を培養し、これに種々の濃度のIL-1を添加し、DNA合成能を検討した。その結果IL-1は濃度依存性に骨芽細胞様細胞のDNA合成を抑制した。このことからOAFの実体の一部であるIL-1は、骨芽細胞の分化、増殖を抑制することにより骨吸収を亢進させる可能性が示唆された。IL-1は種々の細胞により産生されるが、その最大の産生細胞は単球であり、骨塩と単球の相互作用について検討中である。
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