研究概要 |
Fisherラット雄186匹を12カ月令,3カ月令にわけて,対照群,ビタミンA過剰群として、骨関節変化が生じるか検討した.ビタミンA過剰症になったかについては、高速液体クロマトグラフィ-にて血中のレチノ-ルパルミチン酸レチノ-ルを定期的に測定した、パルミチン酸レチノ-ル強制経口投与群では対照群と比べて、レチノ-ル、パルミチン酸レチノ-ルともに血中濃度が上昇しており、パルミチン酸レチノ-ル総投与量が多ければ多い程 血中濃度が高くなっていた。 定期的に屠殺したラットの軟X線像においては、明らかな骨変化、造骨所見をしめすものはみられなかった.アキレス腱付着部に骨化巣はみられたものの、対照群、ビタミンA過剰群との間に、量的質的な差はなかった。摘出したラットの肝では,レチノ-ル貯臓細胞が鍍金染色で、パルミチン酸レチノ-ル投与量に相関して多数認められたが、アキレス腱付着部、脊椎血四肢骨にはレチノ-ル貯臓細胞を証明することはできなかった。またレチノ-ル結合蛋白をもちいた免疫染色でも,鍍金染色と同様の所見であった 対照群・ビタミンA過剰群ともに、第1尾椎の骨塩量をDigital Image Processing法を用いて測定したが,ΣGS/Dは平均0.55と両群に差はなく、投与期間の時間的差異についても明らかではなかった。しかし、ビタミンA過剰群には数少ないが骨粗鬆がおきたものがみられた。 ビタミンAの培養組織に対する影響に関しては、鶏卵からの大腿骨と脛骨に対してオ-ルトランスレチノ-ルを加えて骨の成長について検討した。ビタミンA濃度が100μM以上になると骨成長に悪影響を及ぼすことが判明した。 ヒトにおける強直性脊椎骨増殖症患者と対照群との血中レチノ-ル濃度については、それぞれ20名づつ調査したが、有意差はなかった。
|