研究概要 |
発癌剤9,10ーdimethy lー1,2ーbenzanthracenceによりラットに発生させた悪性線維性組織球腫を用いて、その組織発生起源を追求した。 1.形態的にはMFHは、組織球様細胞と線維芽細胞様細胞の二種類より成り立っているが、単クロ-ン株の性状、免疫組織化学的検索さらに戻し移殖などの研究によって、MFHの本態は線維芽細胞様細胞であることが、ほぼ確認された。 2.MFH細胞を用いてマウスに免疫することによって得られた、単クロ-ン抗体を作製した。数種の単クロ-ン抗体のなかで、MFHの組織球様細胞とは反応せず、線維芽細胞様細胞と極めて良く反応する単クロ-ン抗体が得られた。本抗体を用いて各種正常組織との反応性を検索すると、本抗体は一部上皮系細胞および間葉系細胞と反応した。一方、正常の組織球やマクロファ-ジ細胞との反応性は認められなかった。 以上1,2の研究結果により、MFHの組織球様細胞と線維芽細胞様細胞は、形態のみならず細胞生化学的にも異なっており、未分化間葉系細胞と起源とした線維芽細胞様細胞が本腫瘍の本態であると結論づけられた。 3.今回臨床材料よりヒトMFHの培養株樹立に成功し現在継代中である。今後本株を用いてヒトMFHについてもラットMFHと同様の手法を用いて腫瘍本態の解明を試みる予定である。
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