シュワン細胞は神経再生修復において重要な役割を果たしていると考えられている。しかしその選択的純粋培養を行うことは困難とされている。そのためその条件設定のために次の実験を行った。ラット坐骨神経を採取し、細切後トリプシン処理を行い、増殖阻害剤である10μMcytosinearabinosideを72時間添加することにより線維芽細胞の除去を行った。このようにして得られたシュワン細胞に対し、コ-ティング物質と細胞増殖因子の影響を中心に培養条件の検討を行った。その結果、ラミニンとIV型コラ-ゲンのコ-ティングがシュワン細胞の培養条件として適していることが明らかになった。またコレラ毒素とラミニンガシュワン細胞に対し細胞増殖作用を持つことが明らかになった。この方法により98%以上のシュワン細胞が得られた。 またシュワン細胞の株化のためにシュワン細胞と神経芽細胞腫とを細胞融合することにより細胞株化をするために次の実験を行った。細胞融合を行うための母細胞として使用するマウス神経芽細胞腫であるC-1300に対して8アゼグアニンを添加し最終濃度20mg/mlとすることによりHGPRT欠損株が得られた。このHGPRT欠損C-1300とラットシュワン細胞との細胞融合をポリエチレングリコ-ルを使用して行ったが融合がうまく行かないため条件設定中である。また細胞融合による細胞株化がうまくいかない場合には他の遺伝子導入等による細胞株化を行う予定である。
|