本年度は家兎の中足骨を用いた新しい実験モデルを用いてRadioactive microsphere(以下、RM)を用いた骨血流量測定法による、移植骨の循環動態に探求の可能性について検討した。 【実験方法】幼若白色家兎を用いて、麻酔下にA群は右第二中足骨中枢側1.5cmを伏在動脈の血管柄付で挙上して、右大腿骨中央部に作成した骨欠損部に移植し、Cワイヤ-を用いたレジン創外固定にて固定した。B群は、血管柄付中足骨を大腿皮下に移植した。C群は遊離の中足骨を大腿骨中央部、D群は遊離の中足骨を大腿皮下に移植した。移植4週目に、麻酔下で、左内頚動脈から左心室に挿入したカテ-テルより約70万個の15μmのRMを注入し、同時に左上腕動脈に挿入したカテ-テルより一定速度で採血した。RM注入後ただちに屠殺して、下肢長管骨を摘出し、それぞれのγ線量及び湿重量を測定し血流量を算出した。【結 果】各移植中足骨の血流量をその個体の対照である左第2第3中足骨の血流量との比で示すと、血管柄付で大腿骨に移植したA群は平均1.62遊離で、大腿骨に移植したB群では平均0.48血管柄付で、大腿皮下に移植したC郡では平均2.16、遊離で大腿皮下に移植したD群では平均0.38であった。統計学的にはA群とC群の間には有意差は認められなかった。A、C群と、B、D群の間には危険率1%以下で有意差を認めた。レ線学的には、血管柄付で大腿骨に移植したA群と血管柄付で大腿皮下に移植したD群は、術後早期より横径増大が始まり、A群においては4週目頃より仮骨形成がみられたが、他の群では変化は認められなかった。【結論】われわれは家兎を用いた血管柄付骨移植のモデルを用いて、移植後横径増大の始まる4週目の移植骨の骨血流量をRM法を用いて測定した。血管柄付移植骨の移植初期の横径増大現象、つまり免荷時の横径増大現象に骨血流量が関与していることを証明した。
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