変性腱板の基質変化に関する研究は、現在まで生化学的および免疫組織学的手法で進行中である。酸性ムコ多糖分析は酵素消化後、粗ムコ多糖を抽出し二次元電気泳動法で検討した。これまでどうりコンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸およびヒアルロン酸の存在を確認した。今後症例を重ねその量的変化につき検討予定である。総コラ-ゲン量はハイドロオキシプロリン量により検討し、型別コラ-ゲンの定量はシアノ-ゲン・ブロマイドにより可溶化後再重合させ特異抗体を使用したサンドイッチ法で行うべく、現在その手法の確立のための基礎実験中である。 腱板基質変性にあずかる酵素の研究として本年度は、変性腱板を用いてゼラチン分解活性およびプラスミノ-ゲン・アクチベ-タ-の活性を検討した。その結果、ゼラチン分解活性は腱板よりの直接抽出により分子量約7万および2万と非常に低分子化した活性を証明し、各種合成酵素阻害剤によりセリン系酵素と判明した。又、プラスミノ-ゲン・アクチベ-タ-はウロキナ-ゼ型および組織型につき検討した。両者ともに変性腱板中に存在し、ウロキナ-ゼ型が優位であった。各型のプラスミノ-ゲン・アクチベ-タ-の分子量はSDS-PAGE後のfibrin overlay法により決定した。組織型はヒトメラノ-マ由来の組織型アクチベ-タ-と同じ67kdおよびウロキナ-ゼ型はヒト尿由来アクチベ-タ-に一致する53kdの部位にlysis bandを認めた。以上の結果は第4回日整会基礎学術集会で発表した。 今後これらの各種酵素が腱板変性にどの様に関与するかを検討する予定である。
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