研究概要 |
ヘマトポルフィリンは癌細胞に、特異的に、正常細胞に比較して長時間大量に蓄積する。ラットのアジュバント関節炎を実験モデルとして、慢性滑膜へのヘマトポルフィリンの沈着の検討では、コントロ-ル群に比し、アジュバント関節炎ではアジュバント注入後48時間で、24時間、72時間に比し、最大の蓄積を示した。ヘマトポルフィリン沈着はアルゴンダイレ-ザ-488mm,20mwの照射により組織から発生する640nmの螢光強度により測定し、強度な螢光発生を認めたことによる。関節鏡施行時に採取した滑膜を組織培養し、培地内にヘマトポルフィリンを投与しても、培養滑膜細胞は増殖していくが、アルゴン・ダイレ-ザ-を照射すると、滑膜組織の増殖は停止し、一部細胞は死滅する。増殖を停止した滑膜組織は、一定期間後に増殖を開始するが、レ-ザ-照射前のように線維芽細胞、および樹枝状細胞が混在せず、増殖性の強い線維芽細胞のみが増殖し、滑膜組織全体の変化を示している。培養リウマチ滑膜が、ヘマトポルフィリンをとり込んだところで、アルゴン・ダイレ-ザ-を照射して、細胞のどの部分からレ-ザ-惹起の螢光が認められるか観察したが、細胞全体で螢光を発生しており、膜上が細胞質内かの判定は因難であった。細胞を洗浄、又は破壞による方法も試みたが、目的は達せられなかった。リウマチ滑膜は培養によりインタ-ロイキン2,および3でなく、インタ-ロイキン1を多量に放出するが、ヘマトポルフィリンとレ-ザ-の組合せで、インタ-ロイキン1の放出は著明低下する。炎症滑膜にとり込まれたヘマトポルフィリンは、アルゴン・ダイレ-ザ-の照射により、ス-パ-オキサイドを発生し、炎症細胞を破壞すると考えられるが、チトクロ-ムC還元法により測定したが、ス-パ-オキサイドの増加を認めた。
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