静脈麻酔薬のペントバルビタ-ルを用いて、肝阻血時に生じる肝障害への影響と、ハロセン麻酔時の阻血肝の障害に対する還元型グルタチオンの効果について検討した。実験1[方法]ラットを用いて1群:対照群(麻酔、阻血を行わない)、2群:ハロセン群(2%ハロセン麻酔下で30分間肝阻血を行い、阻血解除後さらに30分間麻酔を行う)、3群:ペントバルビタ-ル群(外頚静脈より30mg/kgのペントバルビタ-ルを投与し30分間肝阻血を行う。阻血解除後30分間酸素を吸入させる)にわけた。吸入終了時に肝外側左薬のアデニンヌクレオチド、過酸化脂質、グルタチオン、吸入終了24時間後に肝外側左葉の壊死面積、血清逸脱酵素活性、ライソゾ-ム酵素活性を測定した。[結果]壊死面積は1群0.1±0.1、2群14.5±5.7、3群4.1±2.4(%)で阻血のみの場合18.6±5.0であった事より2、3群とも肝保護的に作用し3群でその作用は強く現れた。肝エネルギ-レベルは阻血により低下したが2群より3群で高く維持された。阻血により過酸化脂質は増加しGSHは減少したが2、3群間に差はなかった。血清逸脱酵素活性、ライソゾ-ム酵素活性は阻血により上昇したが、3群で上昇が抑制された。以上の事よりペントバルビタ-ルはハロセンより肝保護的に働いた。実験2[方法]ラットを用いて2%ハロセン麻酔下で肝の内外側左葉を30分間阻血した阻血群、阻血前にGSH 100mg/kgを投与したGSH群、シャム操作のみを行ったシャム群を作った。麻酔を1時間行ない麻酔終了時の肝外側左葉のアデニンヌクレオチド、血清逸脱酵素活性、ライソゾ-ム酵素活性、24時間後の肝外側左葉の壊死面積、血清逸脱酵素活性、ライソゾ-ム酵素活性を測定した。[結果]GSHは阻血による壊死面積の増加、血清逸脱酵素及びライソゾ-ム酵素活性の上昇、肝エネルギ-レベルの低下を抑えて阻血による肝障害にたいし保護的に作用した。
|