研究概要 |
1.脳虚血及び再潅流モデルとして、6絶対気圧に加圧後急速減圧したラットの空気塞栓モデルで,組織学的変化を検討した(日本高気圧環境医学会雑誌ー1990)。 空合塞栓による短時間の脳虚血ー再潅流においては、早期に血液脳関門の破綻(Evans blueの漏出)と微小循環障害(注入墨汁の非充えい)が示唆された。 2.脳虚血及びその後の再潅流によるラット脳in vivo,in situでの活性酸素の発生につき以下の2方法により検討した。 (1)ウミホタル・ルシフェリン誘導体(CLA,MCLA)を発光試薬としてsuperoxideを検出する方法(麻酔ー1991) ラットを対象として脱血による低血圧(平均動脈圧30ー40mmHg)と両総頸動脈結紮による完全虚血15分間のモデルでは、虚血中及びその後の再潅流2時間までの早期には化学発光の増加は認められなかった。この方法によるsuperoxideの検出は脳皮質表層のCLA到達部位(主に血管内での反応)と考えられ、15分間の完全虚血及びその後の再潅流2時間まででは、脳皮質表層の細胞外液中にはsuperoxideの発生増加は無いと考えられた。 (2)In vivo microdialysis法を利用して脳局所での活性酸素発生(hydrogen peroxideの発生を指標)を検出する方法(麻酔ー1992)上記のラット完全虚血モデルで、15分間虚血と30分間虚血及びその後の再潅流の影響を脳皮質内でのhydrogen peroxide発生より検討した。Hydrogen peroxideの測定は脳皮質内に挿入したmicrodialysis用のprobeを潅流し、その潅流液をHPLC/イソルミノ-ル化学発光による分析で測定した。その結果30分虚血後の再潅流3ー90分後の早期に脳皮質内で活性酸素の発生増加が示唆された。
|