研究概要 |
1.脳虚血-再潅流モデルとして、6絶対気圧下で空気にて加圧後急速減圧したラットの空気塞栓モデルでの組織学的変化の検討:空気塞栓による短時間の脳虚血-再潅流においては、早期に血液脳関門の破綻と微小循環障害が示唆されると共に、組織学的検査で浮腫状組織、血管周囲腔の拡大及び神経細胞の変性がみられた。 2.アノキシア又は虚血負荷による活性酸素発生の発生源:In vivo microdialysis法により透析プローブを猫脳内各部位に挿入してモノアミンを測定した結果、アノキシア負荷による細胞死の過程で細胞外液中のカテコールアミンが急増し、活性酸素の発生源となり得ると共に、代謝産物の減少が細胞膜の脱分極性変化と脳障害の程度を反映する可能性が示唆された。 3.虚血-再潅流によるラット脳in vivo,in situでのsuperoxide発生Superoxideと特異的に反応し発光するウミホタル・ルシフェリン(CLA,MCLA)を利用して、不完全及び完全脳虚血-再潅流におけるsuperoxide発生を検討した結果、再潅流2時間までの早期には細胞外液中でのsuperoxideの発生増加は検出できなかった。 4.In vivo microdialysis法を利用して脳局所in vivo,in situでの活性酸素発生(H_20_2発生を指標)を検出する方法の検討:Hydrogen peroxideの測定は脳皮質内に挿入したmicrodialysis用のプローブを潅流し、その潅流液をHPLC/イソルミノール化学発光による分析で測定可能であった。ラット完全虚血モデルで15分及び30分間虚血とし、その後の再潅流の影響をみると、30分虚血後の再潅流30-90分後の早期に脳皮質内で活性酸素の発生が増加することが示唆された。
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