研究課題/領域番号 |
01570872
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
窪田 達也 自治医科大学, 医学部, 教授 (90048992)
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研究分担者 |
片野 俊男 自治医科大学, 医学部, 助手 (30224447)
吉沢 睦 自治医科大学, 医学部, 講師 (20135263)
大竹 一栄 自治医科大学, 医学部, 講師 (00092156)
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キーワード | エンドトキシンショックモデル / エンドスペ-シ-テスト / イヌ |
研究概要 |
近年開発されたエンドトキシン(ET)定量法ーエンドスペ-シ-テスト-はETに特異性が高く、精度のよい定量法として臨床にも応用されている。この定量法を用いて、精製ETの静脈内一回投与法により作成した犬のETショックモデルにおいて血中ETを測定すると、従来の投与量(〉1mg/kg)では非生理的異常高値が長時間持続するするのが認められた。これより、我々ははるかに少量の投与量でも十分なモデルが作成できることを予想し、種々の投与量における血中ET濃度の経時的変化を調べた。同時に血液学的パラメ-タ-(白血球,血小板)循環動態(心拍出量,平均動脈圧)を測定し、小量投与によるエンドキシンショックモデルの作成を試みた。血中ET濃度の測定結果、0.02mg/kg以上の投与量では、数時間の観察期間中5000pg/ml以上の極度のET血症となることが判明した。このレベルは臨床におけるグラム陰性桿菌敗血症ショック患者の血中濃度が10〜100pg/ml(〉3pg/mlを正常値とする)であることを考えるといかに非生理的高値であるかが理解できる。これに対し0.02及び0.02mg/kgの投与量では血中濃度変化は追跡可能であり、特に0.002mg/kgでは臨床レベルに近似した。同時にETによる生理学的変化の指標として循環動態、血液学的パラメ-タ-の測定結果、0.002mg/kgの小量投与においても、有意な血圧低下、心拍出量減少、血小板・白血球減少を惹起しており、エンドトキシンショックモデルとして有効であることを示した。従来用いられてきた1mg/kg以上の投与量では極端に重要なET血症となることが本研究で認められたが、ETショックの病態生理の解明を目的とする研究には臨床的ET血症の血中ET血症の血中ETレベルにより近似したモデル、つまり従来よりはるかに少ない投与量(0.002mg/kg)によるモデルが適切であることを示した。
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