マイクロ波の熱作用を利用した膀胱癌・前立腺癌の治療についての基礎的検討および安全性については確立できた。ウサギを用いた癌治療実験もほぼ予定どうり進行し、治療効果についても生存率、組織学的所見からも検討し、その有効性を確認した。 本治療に伴う免疫学的な効果に関しては、IAPなどの癌関連抗蛋白についての検討は行なえたが、細胞性免疫についての検討は、ウサギ白血球、リンパ球の同定に困難な点があり、今後もひきつづき行う予定である。 臨床的治験は、すでに開始されており短期の評価は充分効果があり今後も長期経過観察によってさらに検討を加える予定である。なお臨床例における本治療前後での免疫学的パラメ-タ-の変動についても少数例ながら検討が加えられた。ADCC活性 NK活性が術後上昇している症例が多数みられ、本治療が何らかの癌免疫と関連していることが推定されている。 今後は、本療法と放射腺療法、あるいは化学療法との併用による治療効果の増強に関する培養細胞を用いた基礎的検討およびマイクロ波凝固療法が表在性腫瘍あるいはどの程度まで湿潤した腫瘍に対して効果があるのかを臨床的にも明らかにする予定である。さらに本治療法と従来から行われている手術療法との比較試験を開始するつもりである。
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