研究概要 |
1.従来より行なっている受精鶏卵漿尿膜上に移植したヒト尿路悪性腫瘍に対する各種抗癌剤感受性試験における抗腫瘍効果の判定法に改良を加え,検討した。これまでの判定法は摘出した腫瘍塊の重量測定にて行なっていたが,壊死組織の存在により判定結果が不正確になるという結論より,今回性細胞の指標としてMTT法を用いて検討した。この判定法によれば壊死巣の占める割合が大きい場合,重量測定法では抗腫瘍効果が認められない症例においても,MTT法によりその抗腫瘍効果を定量化できた。すなわち今回の検討により,受精鶏卵漿尿膜法の判定法としてMTT法を用いることで,より精度の高い定量性を持つ効果判定結果が得られる可能性が示唆された。 2.孵卵10日目の鶏卵胎児の漿尿膜上の血管内に線維肉腫細胞(HTー1080),腎癌由来培養細胞株(KNー41)を移植し,その肝への転移能につき熱耐性菌Thermus aguaticusYTI由来のIagDNA polymeraseによる特異的DNA増幅法(PCR法)およびサザンブロット法により検討すると,HTー1080およびTー24細胞を移植した場合には多数の転移細胞が検出された。これに対しKNー41細胞の転移細胞は全く検出されなかった。HTー1080およびTー24細胞を用いた鶏卵胎児肝転移巣に対する各種抗癌剤および温熱治療の効果につていの検討では,HTー1080細胞ではアドリアマイシン,ビンブラスチン,サイクロフォファマイドの順に抗腫瘍効果が認められた。さらに温熱治療の併用によりその抗腫瘍効果の増大がみられた。一方,Tー24細胞では抗癌剤と温熱治療の併用により抗腫瘍効果の低下がみられ,抗癌剤併用が温熱治療効果を抑制するという結果が得られた。
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