研究概要 |
1986年より集められたセミノ-マ26例、非セミノ-マ13例について、胎盤様アルカリフォスファタ-ゼ(PLAPーlike),及びこれまで精巣腫瘍のマ-カ-として現在臨床で用いられているLDH,HCGーβ,AFPの血清レベルを比較検討しPLAPーlikeの有用性について検討を加えた。セミノ-マに於ける各々のマ-カ-の陽性率はPLAPーlike,LDH,HCGーβが60%であった。PLAPーlikeのみ陽性を示す症例も存在し,これら3者の組み合せによりセミノ-マでは約80%の症例においてマ-カ-陽性と判定され,ここでもPLAPーlikeの有用性が確認された。一方非セミノ-マに於けるPLAPーlikeの陽性率は38%と低く,HCGーβ,AFPがその80%で陽性を示すことから,そのマ-カ-としての意義はセミノ-マの場合と比べて低いものであることが示された。これらの症例においてPLAPーlikeの組織内濃度を検討するにセミノ-マは非セミノ-マの約10倍高いことが判明し,PLAPーlikeのセミノ-マ細胞への特異性が示唆された。このことは免疫組織染色に於いて,PLAPーlikeのセミノ-マ細胞膜への局在が示され,組織・細胞レベルに於いても支持された。さらにセミノ-マの産生するPLAPーlikeの酵素化学的検討を行い,疎水性,糖鎖構成,荷電状態に於いて胎盤の産生するいわゆる胎盤性アルカリフォクスファタ-ゼと異なることを明らかにした。
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