研究概要 |
新鮮精巣腫瘍62例(セミノ-マ:41例、非セミノ-マ:21例)についてPLPAの陽性率を検討したところセミノ-マ:stageI:42%,stageIIーIII:90%,非セミノ-マ:stageI:17%,stageIIーII144%であった。血清値についてはセミノ-マ、非セミノ-マともstageIIーIII群はstageI群に比べて有意に高値を示した。stageIの血清値においてセミノ-マは非セミノ-マに比べて高い傾向にあるが有意別は認められなかった。これらの症例中セミノ-マ32例、非セミノ-マ15例において腫瘍内濃度を測定した。セミノ-マと非セミノ-マ間に有意差が認められた。セミノ-マstageIにおいて血清陽性群と陰性群間にその腫瘍組織内濃度において有意差を認めた。stagIにおいては精巣摘出後、1週間以内に全て正常化した。血中半減期は約2日であった。治療後NEDとなった93例のべ594検体について血清PLAP値を測定したところ、4例(4.3%)、17検体(2.9%)はその臨床経過より偽陽性と考えられた。以上の結果よりPLAPは進行性セミノ-マにおける治療効果の判定、経過観察に際して有用な腫瘍マ-カ-であると考えられた。これまで血清診断に用いてきた抗PLAPモノクロナ-ル抗体(HPMSー1)をIー125で標識したのち担PLAP産生腫瘍ヌ-ドマウスに静脈内投与し、同抗体の腫瘍集積性について検討した。腫瘍への集積率(%dose/g)は時間の経過とともに漸減したが、他臓器における減少はより顕著であり、従って腫瘍対血液比、腫瘍対筋肉比、腫瘍対肝臓比はそれぞれ時間の経過を追って増加していった。投与後7ー9日には移植腫瘍組織への明らかな集積がガンマカメラにより観察された。また移植腫瘍内PLAP濃度を測定したところ、セミノ-マ組織内濃度あるいは転移性リンパ節内濃度より低いことが判明した。よって今回用いた抗PLAPモノクロナ-ル抗体(HPMSー1)は転移性セミノ-マの局在診断に際しその臨床応用が十分に期待されるものと考えられた。
|