研究概要 |
1)精巣腫瘍ことにセミノ-マ組織中には正常精巣に比べて約60培の胎盤性アルカリフォスファタ-ゼ(PLAP)活性が認められた。この酵素活性は胎盤由来のPLAPと比較してglycosylation,electric chargeの点で相違を認め、いわゆるPLAPーlike enzymeに分類されると考えられた。 2)喫煙によって上昇する血清PLAP活性はglycosylation,electric charge,hydrophobicityの点で精巣腫瘍由来のPLAP活性(PLAPーlike)に類似していた。 3)セミノ-マ組織のPLAPーlike免疫組織化学染色においては転移性リンパ節も含めてすべて陽性であった。 4)血清PLAPーlikeのセミノ-マにおける陽性率はstage Iで42%、stage IIーIIIで90%であり、非セミノ-マのそれらに比べて明らかに高率であった。これは両腫瘍間におけるPLAPーlikeの組織レベルの差を反映していることが明らかとなったが、腫瘍体積の増加に伴って陽性率は高くなる傾向が認められた。比較的短い血中半減期およびhigh stageにおける高い陽性率より、PLAPーlikeはセミノ-マに対する治療効果の判定および経過観察において有用な腫瘍マ-カ-であると考えられた。 5)血清診断に用いられた抗PLAPモノクロナ-ル抗体(HPMSー1)はPLAPを産生するヌ-ドマウス移植可腫瘍に集積性を認め、臨床における画像診断への応用の可能性が示唆された。
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