研究概要 |
1.弗素イオンメ-タ-による血清及び尿中の弗素の定量法の確立を行った。 2.タイ国チェンマイ大学泌尿器科の協力を得て、骨障害を伴った尿路結石患者のリスト及びフィルムを入手し、それらの患者の尿、飲量水及び結石の採取を行なう機会を得、尿及び飲料水の弗素含有量の測定を行ったが特に異常を認めなかった。すなわちこれは患者の生活環境及び食生活が変化したためとも考えられた。 3.タイの尿路結石中の元素分析(カルシウム,リン,マグネシウム,弗素)をEPMAにて行った結果,現在のところ、カルシウム,リン,弗系の3者間において相互の関係は弱いようである。日本の尿路結石についても検討を行ったが、同様の結果であった。 以上のことより、尿路結石形成にかかわる弗素化合物の役割について尿路結石形成における弗素の役割は弱いように思われるが、今後、日本での尿路結石患者における尿中弗素排泄量など(タイでの尿路結石患者と年齢、性などをほぼ一致させる)を測定し、比較検討を行うこと、また、日本及びタイでの尿路結石におけるいろいろな種類(リン酸カルシウム,シュウ酸カルシウム,リン酸マグネシウムアンモニウム結石等)の結石の弗素と結石(結晶)形成との関係について検討し、平成3年度は、今までのデ-タの集計及び総括を行ない学会発表するとともに、論文発表も行なう予定である。
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