研究概要 |
腎癌にて摘出した腎の動脈側より潅流を行い、静脈側から得られた潅流液を遠沈して細胞を回収して培養し、細胞株を樹立した(CCFーRC2)。この腎癌細胞株をBALB/Cマウスの腹腔内に注射して、免疫したマウスの脾細胞とミエロ-マ細胞(P3x63ーAg 8.653)を融合させた。Membrane antigen assayで、CCFーRC2と反応する単抗体をスクリ-ニングして、更に免疫組織化学的に、正常腎と交差反応の少ない3種の単抗体、2D3,2E11,3E12を得た。腎癌凍結切片を用いた間接抗体法では2D3、3E12、2E11は各々13/23(57%)、21/23(91%)、2/11(18%)の腎癌と反応した。正常腎では遠位尿細管と反応するが、近位尿細管とは反応しなかった。また、多価抗体を得る為にウサギをヒト腎癌細胞で免疫し、腎癌細胞株に反応するウサギ血清を得た。対象して24例の腎癌患者の血清と、6例の尿を用いて、この中に2D3,2E11,3E12と反応する腎癌関連抗原の有無を調べた。一次抗体としてウサギ血清を用いて、二次抗体にはビオチンを結合させた2D3、3E12、2E11を用いてELISAを行なった。6例の尿は全て陰性だったが、24例の血清中3例に陽性を認めた。陽性率の低いことから、腎癌患者のスクリ-ニングには使用が難しいが、賢癌関連抗原が血清中に存在することを示唆できた事は腫瘍免疫学的に意義深いものと考えられる。
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