研究概要 |
ヒト膀胱癌培養細胞株T24をクロ-ニングして得られたCLー7に対してCDDPを持続接触させることにより0.25μg/mlの濃度で増殖する耐性株CLー7/CDDPを樹立した。このCLー7/CDDPは親株と比較して約2.7倍の耐性を示した。 本年度は,このCLー7/CDDPをヌ-ドマウス皮下に移植して,in vivoの系での検討を行った。まず,CLー7/CDDP細胞をヌ-ドマウスに移植して,in vivoの系の作成を行った。ヌ-ドマウスにCLー7を10^7個皮下移植した場合,全例に腫瘍が形成され,その増殖は安定している。また,この移植腫瘍は細片により継代移植可能であった。CLー7/CDDPの場合10^7個移植した場合,造腫瘍性はほぼ100%であるが,増殖速度は親株と比較して極めて緩徐であった。また,CLー7/CDDPの移植によりヌ-ドマウスに形成された腫瘍の内部は広範に壊死に陥っており,腫瘍の細片を移植しての継代は不可能であった。このため,制癌剤の抗腫瘍効果の試験はCLー7およびCLー7/CDDP細胞をそれぞれ10^7/bodyを皮下移植した後に,推定腫瘍重量が100mgに達した時点で制癌剤を投与する方法で行った。CDDPは2mg/g,4mg/g,8mg/gの投与量として,5日毎に3回腹腔内投与した。CLー7移植腫瘍ではCDDP 8mg/g投与群において腫瘍増殖の抑制が認められたが,CLー7/CDDP移植腫瘍ではCDDP 2mg/g,4mg/gの投与では増殖抑制は認められず,8mg/gの投与において抑制が認められたが,腫瘍増殖が非常に緩徐であり,各個体間での腫瘍重量のばらつきが大きく,この点を改善する必要があると考えられた。
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