研究概要 |
当該年度は悪性腫瘍患者症例が少数であり,リンパ節を入手できなかったため,研究は思うように進行しなかった。膀胱腫瘍患者より摘出したリンパ節リンパ球より教室所有の膀晄腫瘍cell lineであるHTー1197に対して殺細胞能を持つLAK細胞を誘導するためのインタ-ロイキン2の至適濃度は,個々の症例で少々差があるようだが,やはり20単位/ml以下にピ-クを認めることが多かった。またHTー1197以外に,同じく膀晄腫瘍cell lineであるHTー1136,UMーUCー3cell lineに対しても殺細胞能を検討したところ,同様に20単位/ml以下のインタ-ロイキン2濃度にピ-クを認めることが多かった。さらに最も強力な殺細胞能を有するLAK細胞を誘導するための培養時間も,初年度に明らかにしたように,3〜5日目に集中していたのでこの条件を用いて,誘導したLAK細胞による自己腫瘍細胞に対する殺細胞能を検討するべきと考えている。 さて,数少ない症例のなかで,所属リンパ節組織の凍結切片を2カラ-染色してみたが,染色条件が悪く,報告できるような結果は得られなかった。当該年度は以上の如く,研究面で大きな進歩は得られなかったが,来年度は最終年度でもあり,症例さえ多ければ自己腫瘍細胞に対するLAK細胞の殺細胞能,CTL細胞の誘導および条件設定をすすめていく予定であり,さらには組織学的に,領域リンパ節におけるリンパ球の分布状況も詳細に追求してみたいと考えている。
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