研究概要 |
ヒト精巣上体ミクロソ-ムに局在する5αーreductaseに対する4ーazaーsteroideの阻害効果について検討を行った。基質testosterone濃度10^<-8>Mの条件下で、finasterideは10^<-10>〜10^<-8>Mの範囲で、濃度依存性に5αーreductase活性を抑制した。この阻害強度は、progesteroue,20αーdilydroprogesterone基質による、基質競合に基づく阻害効果と、ほぼ同程度の阻害効果であった。finasterideのヒト精巣上体5αーreductaseの阻害形式は、LineweaverーBurk法による解析で、競合型阻害であり、阻害定数(Ki)は2.5×10^<-9>Mであった。以上の結果から、finasterideは、ヒト精巣上体5αーreductase活性を調節するに充分な阻害強度を有するものと考えられた。 次に、5αーreductaseの生体内調節系を明らかにする目的で、LHーRHアナログによるChemical hypophysectomyを施行したラットに、testosterone処置(Osmotic pump,testosterone 40mg/10ml)を加えると、精巣上体5αーreductase活性は、chemical hypophysectomy群の約2倍に増加したが、このtestosteroneによる5αーreductaseの酵素誘導は、finasterideによって著明に抑制され、testosterone:finasteride比1:3の処理では全く酵素誘導を示さなくなった。この結果は、精巣上体5αーreductase誘導の機序に、5αーreductase自体が密接に関与していることを示している。 以上の様に、finasterideによる5αーreductase活性の抑制には、酵素に対する直接阻害作用による抑制(競合阻害)と、アンドロゲン作用発現阻害に基づく間接阻害作用によるものとの2者が関与している。
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