凍結治療は長所は、術中・術後の疼痛出血がなく非侵襲的であり、瘢痕治療が少なくまた自己免疫反応の増強が期待できることなどがあげられる。 近年泌尿器領域においては、超音波穿刺術、エンドウロロジ-、ESWLの進歩、温熱治療の前立腺疾患への応用など多くの疾患において、非侵襲性治療の割合が増加している。しかしながら、腎腫瘍の治療法としては現在も開放性手術が主流である。手術によらない治療法としては、内分泌療法、化学療法、免疫療法、腎動脈化学塞栓法などがあるが、いずれも手術の補助療法として使用され、腎腫瘍に対する非侵襲性治療が待ち望まれているのが現状である。 そこで腎腫瘍の非侵襲的治療として、超音波穿刺術ならびに凍結治療を組み合わせた経皮的穿刺凍結手術の開発を3年間行ってきた。経皮的穿刺凍結手術を施行するにあたり、(1)体内深部に存在する腎腫瘍は凍結可能か、(2)腎腫瘍細胞はどの程度の冷却温度で凍結壊死するか、(3)凍結後の正常腎組織はどのような影響を受けるのか、(4)術中凍結効果の判定は可能かなどが問題となり、これらの点について検討した。 まず、直径6.8mmの液体窒素型の凍結プロ-ブを開発し、これを用いて検討した結果、腎腫瘍は腎動脈塞栓術を併用すれば凍結治療が可能であることが明らかとなった。つぎに正常腎組識は、凍結により3ヵ月以内に凍結萎縮し、いわゆるautonephrectornyの状態になることが判明した。また、開発された直径0.5mmの温度センサ-ならびに術中超音波を利用することにより、術中凍結効果の判定をリアルタイムに観察できることを立証した。 今後近い将来臨床応用を施行する予定である。
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